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歴史好きとしては元寇のときの「神風」、秀吉のドラマティックな中国大返し、戦艦大和がどんな船で活躍したらどうだったのか、なぜ沈んだの?とワクワクする内容だがその謎が理論的に説明されている1冊がこれだった。
概要
作者
播田安弘(はりたやすひろ)
船舶設計のプロで映画「アルキメデスの大戦」の戦艦の図面を描いたり東京ディズニーシーの噴水台船などを開発した。
概要
船舶のプロの目線から元寇、秀吉の中国大返し、戦艦大和について分析、結論を出している。
歴史好きとしては元が攻めてきたとき神風が吹いて蒙古軍を撃退したのだとロマンを求めたかった。が、船の大きさやその時代の状況などを詳しく分析した結果、元を退けたのはなすべくして成ったとわかる。
また秀吉の中国大返しも同様、いかに計算されていたのかを詳しく解説している。戦艦大和においては戦艦の致命的な欠点に触れるとともに当時の世界と日本の情勢を鑑みてもし・・・を考えてしまう、そんな構成になっている。
感想
良かった点
- 根拠に基づいて数字で証明している
- 船舶のプロならではの視点
- 当時の状況、生活レベル、すべてを加味しての結論を出している
何となくこうだろうな、と思っていた常識がことごとく覆された。歴史はなるべくしてなるのだなと再認識されられた。戦艦大和に関しては個人的に当時の上層部がうまく、効率的に使っていればと思ったが逆にいえば専門家の知識や戦時の正確な情報を作戦に詰め込むのがいかに難しいかがよくわかった。戦争を賛成しないが戦艦大和が活躍する場面は見てみたいと思った。
元軍に関してはこの本を読めば撤退することは確定していたのだとわかる。いかに島国が攻め込みにくいか、いかに日本は防衛において航空機が出てくるまでは恵まれているかがよくわかる。
秀吉に関してはすべてが計算されての大返しなのだとよくわかる。本書の案が確定ではないが、いかに通説では難しいかがよくわかり、きっと本書が正しいのかなと考えさせられる。ここまで大変な大返しをやってのけた秀吉はやはり只者ではなかった。
また、今では簡単に行ける距離でも当時の生活レベルではいかに難しいか、兵站の重要性も明記されており、戦は兵の数だけできまるのではないことがよくわかる。本当に、戦には金と時間がかかるものだな・・・。
いまいちな点
- 数字が多様されているので理解が追いつかない
- 数字が大きすぎて想像が難しい
これは両方同じような部分であるが、科学的に検証しているのでどうしても数字が多くでてきてしまう。また大きさも膨大である。なので頭の整理が追いつかなかったり数が大きすぎて想像がしづらい。
(例:1万人の人がといわれてその量や情景を頭にぱっと思い浮かべることが私には難しかった・・・。
まとめ
戦に関して準備に時間と労力と金がかかることがよくわかる1冊。よく「戦は始まる前から決着がついている」というがそれに納得してしまう。想像以上に戦場に立つことが、開戦することが難しいことがよくわかった。
戦に向けてどんな困難があったか興味がある人にはぜひ読んでもらいたい1冊である。