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天下の大悪人と言われれている松永久秀を主人公とした歴史小説。「人は何のためにうまれ、死んでいくのか」をテーマに少年期からの松永久秀の苦悩の人生が描かれている。
オーディオブックとは
主にオーディオブックとは主に書籍を朗読した「耳で聴く読書」のこと。最近話題になってますね。
個人的には以下の点が気に入って1年以上使っています。
- 通勤通学中に、家事をしながら聴ける
- 本を置くスペースが不要
- 音声のスピード調整ができる
- 有名声優さんの出演多数
読み放題プランがあるものも多いですよね。
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じんかん
じんかんってどんな本?
松永久秀とは
「じんかん」を語る上で松永秀久は外せない。まず、一般的な松永久秀像を見ていこう。
松永弾正久秀(1508~1577)は乱世の奸雄(かんゆう)、戦国三大梟雄の一人として有名である。梟雄とは戦国時代に残忍で勇猛な悪人として名をとどろかせた人のことであり、その中でも悪人として久秀は筆頭となろう。
久秀の有名な三悪とは以下の3つである
- 主家の乗っ取り、主家殺し
- 将軍足利義輝暗殺
- 東大寺大仏殿の焼き討ち
近年、本当は違うのではという説もある。が真相は闇の中。また、久秀を一躍梟雄として有名せしめたのが
主君である織田信長を裏切った際(2回目)名物の茶器「平蜘蛛」とともに爆死した
ことであろう。実際、爆発したかは定かではないが、平蜘蛛とともに最期を終えたことは事実である。
概要
「じんかん」の松永久秀はこの一般的な松永久秀とはかけ離れた人物で描かれている。
行ったとされる三悪も実は・・・という主家に心から使えた人物であり、幼少期も悲惨な体験をしているように書かれている。(史実の幼少期は不明となっている)
秀久の建てた多聞山城の名前の由来、三悪に対して信念をもって行ったが故、世間一般のような悪人には見えない松永秀久が「じんかん」の中では書かれている。
その中で「人は何のためにうまれ、死んでいくのか」を苦悩し、戦乱の世を終わらせることに人生をかけている。
うまくいきそうになっては「人間の中の見えざる意思」によって阻まれ、もがき苦しみ、生きていく物語。それが「じんかん」である。
作者は今村翔吾氏である。
感想
良かった点
- 松永久秀を一般的な評価と真逆な人物として描かれている
- 信長と久秀の関係性がいい
- 幼少期の仲間との関係性がいい
久秀が行った三悪をこのように解釈するのか、と。一部では久秀が主家殺しや将軍殺しに関与していないとされているが、この小説のようであってほしいな、と思った。
また、信長の語りから各章始まるが、神を信じていとされている2人の心のつながりやある意味での信頼感が最終章をよりおもしろくさせている。
それは幼少期の仲間たちとの関係性も同じことが言える。久秀の人格形成の基本となり心の支えとなった仲間たち。それがストーリーにも影響していく。
いまいちな点
- 似たような名前の人物がたくさん出てきて混乱する
- 前半と後半のスピード感が違いすぎる
- 時間が長い
歴史小説ならではだが、親子兄弟で似た名前が多く、「あれ?これ誰だった?」となることがよくある。
例えば、三好元長、長慶、義興、義継や細川勝元、政元などである。これは歴史小説あるあるなのでしょうがないが。
しかも15時間を超える大作なので1日で聴くことは難しく、日がたつにつれてますます混乱してしまった。
前半と後半のスピード感の違いは賛否両論あるだろう。三好家に仕えるまでは若干間延びしている分、三悪から爆死までが怒涛の勢いで過ぎていき少し温度差がある。
全体的な感想
天下の大悪人と呼ばれる松永久秀をこう描くのか、だから信長と通じるものがあるのかと目から鱗の作品だった。大悪人としての久秀もヒールさがかっこいいが、「じんかん」の久秀もありかな、と思った。
人はなぜうまれ、しんでいくのか。人の命が軽い戦の世だからこそのテーマでもある。簡単に人が死んでいくからこその神仏を信じないが徹底されており、「じんかん」にもまれながら同じように久秀と信長は生きてきたのだろう。
この本で二人が直接語っている場はないが、状況がありありと目に浮かぶ。この先を見据える男たちが太平の世になる過程で何を考えてあの世で太平の世をどう思ったか、想像するだけで楽しい。
まとめ
戦国時代の歴史小説が好きであれば読んでほしい1冊。久秀についてもう一度史実を調べて本当にこの本のようなことがありえたのか知りたくなった。
「人はなぜうまれ、死んでいくのか」これは戦国時代だけでなく今でも追い求める永遠のテーマである。明確な答えはでないが自分の人生を振り返りたくなる。
なお、最後の場面は目が熱くなるので公共の場でも視聴は控えた方がよい。私は涙を抑えるのに苦労した。